放射線室概要
当院放射線室では、一般撮影装置・X線TV透視撮影装置や多列検出器型CT(マルチスライスCT)などの画像診断機器を駆使して、画像検査を行っています。
また、撮影・検査を安心して受けていただくため、思いやりをもって患者様に接するとともに放射線被曝低減に努めています。
スタッフ
診療放射線技師 3名
放射線科医(非常勤) 1名
放射線科医(非常勤) 1名
放射線室理念
- 患者様と職員の放射線被曝低減に努めます
- 撮影・検査を安心して受けていただくため、思いやりをもって患者様に接します
- 各自、技術と知識の向上に努め、人間関係を大切にしてチーム医療に貢献します
- 検査時間は可能な限り短く、そして検査の苦痛を和らげるよう心掛けます
- 診療放射線技師として常に業務に緊張感を持ち、医療事故や医療過誤防止に努めます
撮影機器
X線撮影装置
胸部や腹部、骨の撮影のほか造影剤を用いた尿路系の検査にも使用します。また、電子化に伴い、CR装置を使用しており画像の長期保存が可能となっております。
骨密度測定装置
令和6年5月より骨密度測定装置を導入しました。DEXA法と呼ばれる撮影法で腰椎と大腿骨頸部(股関節のあたり)を撮影し骨密度を測定します。2種類のエネルギーピークを持つ放射線を撮影部位に照射し、骨と軟部組織の放射線吸収率を利用してコンピューター処理により骨部分のミネラル成分の量(骨密度)を測定します。スキャン時間は腰椎が約40秒、大腿骨が約20秒となっており、入室から退出まで15分程度で終了します。
腰椎や大腿骨の手術をされている方は、両手を撮影し骨密度測定をするDIP法も行っておりますので、その数値で経過を見ることも可能です。
画像記録機器
当院の読影環境です。平成24年12月1日よりモニター診断となりました。
院内ネットワークが確立しており、各診療科で検索できるため待ち時間が短縮されました。
ポータブル撮影装置
移動式のX線撮影装置になります。胸部や腹部撮影に使用しますが、移動式なのでX線の出力条件や幾何学的条件などの限界があり、画質の低下は免れません。しかし、患者様で当室まで降りてくるリスクが高い方には画質の低下よりも優先すべき検査です。被曝の観点から申し上げますと、周囲の方は2メートルの距離をおけばまったく問題ないと実証されております。無理にお部屋から出ていただくことはないのですが、お見舞いに来られている方には退室をお願いしておりますのでご了承ください。
X線TV装置
バリウムなどを用いて胃や腸を観察し、撮影をする装置です。また、デジタルで処理しDSAにも対応している装置になっており、例えばカテーテルや内視鏡がどこまで進んでいるか確認する時にリアルタイムで観察できます。
外科用イメージ
手術室内専用の装置になります。X線TV装置を小型化したものとお考えください。X線を用いてリアルタイムに器具と骨の位置関係を観察することができます。
CT装置
最新式80列マルチスライスCT装置、従来の16列マルチスライス装置に比べ4倍以上のスピードで撮影することができ、低被ばくで高精細な画像を得ることができます。
快適な検査環境と低被ばくで安全な検査をお約束します。
①患者さんの体が入っていく丸い穴が広くなり、圧迫感の減少や、障害などで肢体を動かしづらい場合にも姿勢を大きく変えずに検査が受けられます。
②部位ごとに線量を変更する技術や最新技術の画像作成技術により、放射線感受性が高い部分への被曝を低減させることが出来ます。
患者様へ
- 検査内容によって、順番が入れ替わる事がございますがご了承下さい。
- 検査を実施するにあたり、ご不明な点や不安を感じられる事がありましたらお気軽にお尋ね下さい。診療放射線技師が説明させていただきます。
- 妊娠している可能性のある方、ご気分の悪い方は診療放射線技師、または最寄りのスタッフまでお申し付け下さい。
Q&A
Q、 CT検査の被ばくは、どのぐらいなのでしょうか?
A、
CT検査は撮影場所や目的によってさまざまです。撮影部位(頭部・胸部・腹部・全身など)や撮影手法により異なりますが、1回あたり5-30mSv程度です。胸部X線撮影のように線量が少ない検査 ( 0.06mSv程度 ) に比べると、X線CT検査の方が線量は多くなりますが、癌リスクという観点からみると少量の放射線量ということになります。
Q、 子供と大人で放射線の影響は違うのですか?
A、
一般的に言って、子供の方が放射線の影響を受けやすいことが知られています。
検査のリスクを考えるとできるだけ低く抑えることが大切です。当院でも、子供を検査する場合、放射線の照射条件を調整し、線量を低減する取り組みが行われています。
Q、 最近、胸のレントゲンを撮ったけれど何度も撮影しても大丈夫ですか?
A、
理屈としては被曝量が増えています。しかし、個人の健康を総合的に考えると、検査結果を元に医師が適切な医療行為をすることで、検査によって病気の状況がわかるといったメリットの方が大きいと考えられます。
また、ある線量を何回かに分けて受けた場合には、同じだけの線量を一度に受けた場合よりもリスクが小さくなることが知られています。
また、ある線量を何回かに分けて受けた場合には、同じだけの線量を一度に受けた場合よりもリスクが小さくなることが知られています。
Q、 フィルムってなくなったのですか?
A、
当院では、モニター診断となっております。以前は 撮影→現像→フィルムをお渡しする といった流れのため撮影後はお待ちいただいていたのですが、現在は撮影後そのまま外来へご案内しております。撮影した画像がパソコンに写されるまで数秒しかかかりません。また、パソコン上で検査終了が確認できますので、その点でも待ち時間が大幅に短縮されました。
Q、 MRIとCTではどう違うの?
A、
CT検査は、体の回りにX線を当てて得られた情報をコンピューターで計算し、2次元画像を作る方法です。最近は複数の検出器を用いて撮影できる装置(MDCT)ができて、検査時間が大幅に短縮しました。頸部から骨盤まで 25秒ほどで検査が終了します。この為、広い範囲の検査にはCTが適しています。またMRIでは骨や肺の描出が難しいので、骨や肺の状態を観察したい場合にはCTが適しています。しかしCT検査では放射線被ばくがあることが欠点です。MRIは、磁気を利用して、体内の水素原子の量と、水素原子の存在の仕方を検査する方法です。放射線の被ばくがないため、繰り返す検査や子供・妊婦の検査に適しています。病変部と正常組織のコントラストも良好で、横断像だけでなく、冠状断像や縦断像など、どんな断面像でも得ることができるのも利点です。しかし、検査の範囲が狭い、検査に時間がかかる (30分から1時間) 、骨の変化がわかりにくい、という欠点があります。ペースメーカーを埋め込まれている患者様には施行できず、また狭い場所に入るので、閉所恐怖症の方にも不向きです。
このようにCT・MRIにはそれぞれ長所・短所があり、患者様の疾患や状態に合わせて、治療の為の必要充分な情報が得られるように検査を行っています。
MRI | CT | ||
脳梗塞 | ◎ | △ | MRIの方が早期梗塞巣の描出が可能です |
脳出血 | △ | ◎ | CTの方が出血の描出能に優れています |
外傷 | 〇 | ◎ | 骨折や出血ではCT・脳挫傷ではMRIが優れています |
その他 | - | - | 骨や肺:CT、脳組織や軟部組織:MRI |
低浸襲性 | ◎ | △ | 被曝の観点から見るとMRIの方が安心です |
検査時間 | 〇 | ◎ | CT:5~10分、MRI:30分程度 |
Q、 造影剤って何?
A、
検査する部位(臓器)をより詳しく調べる目的で使用します。
通常では見えない血液の流れや血管の臓器への広がりなどを見ることができ、また造影剤が時間的にどの様に流れるかにより病変部位の質的診断を行うことができます。
※ごくまれに副作用がでる場合があります。症状には個人差がありますが、おもに吐き気・かゆみ・発疹などです。ほとんどの場合、検査中もしくは検査終了直後に出現しますが、まれに検査後数時間から数日後に出現する場合がありますので、検査後いつもと違う症状がありましたら、当院にお問い合わせください。(検査時には医師、技師、看護師が万全な体制で臨んでいますので安心して検査を受けてください。)
造影剤が注射される時に体が熱く感じることがありますが、これはほとんどの患者さんが感じる現象で時間が経つと熱感もおさまります。
Q、 注腸ってどんな検査?
A、
肛門よりチューブを入れてそこからバリウムと空気を注入しながら腸のレントゲンを撮影します。検査前日より食事制限をしていただき腸内に便が残っていない状態で撮影します。また下剤の服用も必要となりますので、予約制となっております。
検査時間は20~30分程度かかります。